チケットは席種によって値段が違う、というお話をしました。
今日は一般に「良い席」と言われる「とちりの席」について、今日はお話ししましょう。
本日のギモン:「とちり」の席ってどんな席?
歌舞伎では、一番観やすいとされる良席を「とちり」の席ということがあります。
どんな席かというと、「前から7列から10列くらいの席」という意味。もっといえば、それらの列の中央付近を指します。
なぜここが「良席」とされるかというと、「役者の顔がよく見える近距離でありながら、舞台全体も眺めることができるから」です。
確かにそうですよね。でも、それをどうして「とちり」と言うのでしょうか。
本日のお答え:「とちりの席」は「7〜9列目」を指す
「とちり」とは、「いろはにほへと ちりぬるを〜」のイロハの並びから「とちり」を抽出したものです。
今の劇場はほとんどが「1列1番」「15列35番」のように席番が記されていますが、中には列が「あいうえお」順になっているところがあります。
(例)浅草公会堂
この「あいうえお」順、昔はほとんどの劇場が「いろは」順だったんですよ。歌舞伎座も、前は「いろは」でした。
これで数えると、「いろはにほへと」の「と」が7列目なので、「とちり」は7〜9列ということになりますね。
本日のまとめ
- 「とちり」とは「いろはにほへとちりぬるを」の「とちり」
- 昔は、劇場の列は「いろは」順だった。
- 「とちり」は7〜9列目に当たる。その中央あたりが良席と言われる。
- 舞台と程よい近さで、役者の顔が間近に見えるとともに、舞台の全体も把握できる。
「とちり」の席に座ると、確かに観やすいことがわかります。一度はここでの観劇をお勧めします。