泉鏡花の耽美な世界を、玉三郎が歌舞伎にしました。
一見「これ、歌舞伎?」と戸惑ってしまうような舞台装置や衣装の斬新さには、
泉鏡花の一字一句を理解した上で舞台人・玉三郎が打ち出す戦略がありました。
講座での中心テーマは「異郷に嫁ぐ女」。
生まれ故郷から遠く離れた地に行く怖さ、カルチャーショック。
そのとき、そのとき、女性はいかにたくましく、そして柔軟に、生きていこうとするのか。
輿入れの日にしっかりと自己主張する「美女」、新妻を
自分の価値観で論破しようとする「公子」、
二人はお互いをどうやって受け入れることになるのか。
鏡花の筆致は人間の心理を突いて見事というほかはありません。
「美女と野獣」との共通点や相違点、ジャン・コクトーと歌舞伎との意外な接点などにも触れます。
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