時事通信の映画紹介サイトに、「イニシェリン島の精霊」のレビューを書きました。
アイルランドのアラン諸島の寒々しい風景の中で起きる「事件」と人間模様を、「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督が描いています。
私は2016年に、世田谷パブリックシアターで「イニシュマン島のビリー」を観劇しています。この舞台も、同じくアラン諸島が舞台。
古川雄輝・鈴木杏主演・柄本時生の関係は、「イニシェリン~」に登場するパードリック・シボーン・ドミニクに似ています。
それもそのはず、いずれもマーティン・マクドナー監督自身が書いた戯曲群「アラン諸島三部作」に入っている!
だから、昨年の東京国際映画祭で「イニシェリン島の精霊」が上映されると知ったとき、私は最初「イニシュマン島のビリー」の映画化かと勘違いしてしまったくらい!
自らのルーツでもあるアイルランドに対する、マクドナー監督の強い思い入れが感じられます。
ただ、テイストは似ているけれど、今回の「イニシェリン島の精霊」の方が、アイルランドとまったく異なる風土で生きている私たちにも大きく感情移入できるような気がします。
もう、物語の設定は「え~っ??」「な、なぜ?」っていうくらいインパクトあるんですが。
それでも心の内は、ものすごく共感できる。友人と毎日会いたいあの人にも、成長するために行きたいあの人にも、島を出たいあの人にも……。
そして、動物好きな人にはわかるんじゃないかな、あの気持ち……。
「孤独」にも、楽しい孤独とさみしい孤独がある。そんなことを思った映画でした。
寓話的ですが、政治的でもあり、そして、……ちょっとグロです。
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「イニシュマン島のビリー」については下記をどうぞ。
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